お久しぶりと同時に2019年も終わってしまいますね(;^ω^)
今年も本当に色々ありました。
それでも何とか気MAXの2019年も無事に終われそうな気配ではあります。 これも皆様のお陰です。本当にいつもありがとうございます!!
さて、タイトルにもありますがEJ20エンジンがついにラストを迎えてしまいますね。
1989年に初めて初代レガシィに搭載され、その後インプレッサ・フォレスターとスバルの普通車にはEJエンジンが搭載され改良・熟成が進んでいき現在のVABでは熟成しきって完熟の域へ。
ひとえにEJ20エンジンといっても実に様々な仕様があります。
車種ごとに説明していくととんでもない量になるので、まずはインプレッサに絞っていきますかね( ..)φメモメモ
まず初代インプレッサGC8。
これはレガシィのラリー車の後釜としてデビューし、参戦から即優勝争い。
誰だったか、海外のジャーナリストだかに「これ以上の車は存在しない」とまで言わしめた車です。名車中の名車です。
僕がラリーに憧れ、インプレッサが好きになったのもこのGC8のお陰です。
さて、この初代GC8。 もちろん素性は抜群にいいんですが、若干信頼性が低かった・・・。
エンジンの耐久性的には悪くないんですけどね。 というのもシリンダーブロックに俗にいうクローズドデッキと採用しており、ブロック剛性が非常に強いんです。
要するにピストンが収まるシリンダー周辺の肉厚を厚くしていてチョットやそっとの過剰な熱ではヒズミが発生しにくいってことなんです。
けど、それはシリンダー周りの冷却水が通るウォータージャケットをかなり埋めていたために水温が上がりやすく、その影響を受け油温も上昇。
高性能ラジエーターや良く冷える冷却水への交換は必須でした。
しかしレギュレーションで交換できない場合は結果的にエンジン自体は強くても結果的にオーバーヒートやエンジンオイルの油膜切れでメタルへの損傷もありました。
そして、その結果スバルはクローズドデッキからオープンデッキと言われるシリンダーブロックへ変更。
しかし今度は水温は冷えるようになったけど、ブロック剛性は下がってしまい・・・。
そして出てきたのがGDBAタイプ(通称丸目)に搭載されたセミクローズドデッキ。 オープンクローズドデッキにリブを設けクローズドデッキに近い剛性を確保。
ここからEJ20エンジンの信頼性は一気に向上していきましたね☆
ちなみにGC8のSTiバージョンからずっと鍛造ピストンを採用しているんですよ。あ、STiバージョンだけですよ笑
そしてGDBのBタイプまでずっと鍛造ピストンで、しかもモリブデンコーティングされているなんて超豪華仕様なんです。これ、僕がエンジン組む時によく施工するんですが、結構コストかかりますけど効果かなりあります。
それを純正採用って凄まじいことなんです。効果としては耐摩耗性・低フリクション・対ノッキング性アップといいことづくめ。
まさに競技で勝つためですね。
ちなみに余談ですが、大事な車を誰に整備してもらうか?の目安として、この道もうすぐ20年の僕がハッキリ言えるのは
競技参戦経験がある程度長く自分自身でも出場している(又はしていた)経験のあるお店に任せることをおススメします。
もうハッキリ断言できます。
もちろん一般整備にそこまでの耐久性やチューニングなんかは必要ありません。
けど、競技に参戦するというのは車に携わる人間・会社にとって必須としても良いくらい大事なことで。 競技で出場する以上遊びではありません。
カテゴリーにもよりますがお金も時間も物凄くかかっています。ちなみに地区戦クラスのラリーでもインプレッサクラスだと1戦参戦するのに自分で整備できる人間でも余裕で30万円くらいはかかります・・・。
これに事前メンテや消耗品交換・積車の手配や宿泊費を入れたら恐ろしい金額になります。
車種や練習量や走り方にもよりますが、競技中にどこが壊れるか?は分かりません。
なので、普段の練習やテストで走りまくってその車両のどこが壊れるか?どこが弱いか?を見抜いておく必要がります。 例えばリヤのドライブシャフトが折れやすいなら競技前に新品に交換しておくか、距離と練習量に応じてしっかり交換サイクルを管理しておく。さらに跳ねたりした際に折れるならなるべく瞬間的な負荷がかからないようにリヤのサスペンションをストロークをとったりして接地性を上げるセッティングにしておく。
これくらいは当たり前です。 ブレーキは常に過酷な状況。自分のスタートまで何台かプールしタイヤもブレーキも冷え切った状態から一気に全開で走るわけですから。
少しの整備ミスや管理忘れや「まぁ、このくらいでいいか」という甘えがあっては勝つことはおろか完走すらできないでしょう。
まさに昔の駆け出しのころの僕がそうだったので。 重整備から何まである程度こなせれる整備士でもそんなレベルです。
そして今日は雨だから走るのはやめておこう。霧が出て怖いからゆっくり走ろうなんて甘えも一切許されない世界。
さらにまずそこそこペースで走ってタイヤと路面を見てから・・・なんて猶予もありません(^_^;)
ここが走り屋さんとの圧倒的な違いですね。
では、ちょっと想像してみましょうか。
普段あなたが乗ってる車で、山道に来ました。 雨が降っていて路面は完全に濡れています。 しかも霧が出ています。かなり濃いです。 そしてあなたはこの山道を一度も走ったことがありません。
はい、ではこの山道の下りを全開で走ってください。
どうでしょうか?笑
想像しただけで怖くないですか? 道の先はどうなってる? 下りで時速150キロでちゃんとブレーキが効くのか? タイヤはこの雨でしっかりグリップするのか?
実際の競技車両ではさらにエンジンパワーもありますからスピードレンジも上がるので更にブレーキやタイヤには過酷です。
と、まぁこんな世界です。
他にも言えばキリがないのでまた別の機会にしますが、本当に車に対して過酷です。
そこまで自分と車に対して厳しくしないと完走すらできない世界が競技の世界。
僕は整備も運転も普段の街乗りの延長線上に競技があると思っているので、普段乗りだけの世界しか知らないような整備士にそこから先の整備ができるとは思えないんです。(レースや競技というと荒っぽい運転を想像されますがトップ選手ほど運転はビックリするほどスムーズですよ。)
普段乗りでも乗り方や走る距離は人それぞれ。 普段でも高速を結構な勢いで飛ばす人や山道が好きで週末はワインディングを走る人。
それを「整備」とひとくくりにしていいはずがありません。 (-_-;)
なので、看板の大きさや紹介だけでお店を選ばず「人」を見て愛車を任せることをおススメします☆
あ、ものすごく話しが脱線しました・・・。
GDBのピストンの話しでしたね。
GDBではCタイプ(涙目)からピストンはなぜか鋳造へ・・・。 そのかわりクランクシャフトにタフトライド処理(イソナイト)が施されるようになりました。
メーカー曰く鋳造なのに鍛造よりも高強度!とのことですが。そんなわけないでしょ・・・さすがに(;^ω^)
なので、A~Bタイプの鍛造ピストンをGRBコンロッドで組むのもアリですね!まぁ、そこまでやるなら社外のピストン・コンロッドを使うでしょうが・・・。
しかし!!このクランクシャフト!これはメチャクチャいいです!
ちなみにタフトライド(イソナイト)処理とは
一般熱処理とは異なり、窒素を表面に拡散浸透させ、表面に窒化鉄化合物層を形成することにより硬化させる処理です。このイソナイト処理は鉄鋼材料の性質を飛躍的に改善向上させる方法として産業界のあらゆる分野に展開しているすぐれた処理法です。
分かりました?笑
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耐摩耗性の向上摩擦係数が極めて低い。μ=0.05~0.12)表面硬度の向上。耐かじり,耐焼き付き性の向上。
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疲労強度の向上曲げ・捩り・繰り返し応力下の材料の疲労寿命を増大させる。
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耐食性の向上硬質クロムメッキに置き換わるほどの耐食性を示す。
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耐熱性の向上500℃に加熱されても化合物層の性能を損なうことがない。
だそうです。WPCに似た感じですが、正直クランクシャフトにはこのタフトライド処理が一番向いてる気がします。 ちなみにこの処理、一本単位だととんでもない金額します。
前にタフトライド処理を施工している工場に聞いたんですが、一本だけだと液もすべて交換・洗浄になるから100万円くらいかかるとのこと(;・∀・)
まさにメーカー単位だからできた処理ですけど、それでもやはり相当なコストがかかっているのは間違いありません。これもやはり競技という誤魔化しが利かない世界に出す車だから見えない部分にも拘っている証拠ですね。
チョットあまりに長くなりすぎてしまいそうなので、ここいらで締めないと・・・EJ20エンジンを語らせたらホント話し終わらないです笑
で、EJ20エンジンそのものの耐久性としては
相当あります!!
と言えますね。しかし、モデルごとによって気を付けるべきポイントが若干異なってきます。
まず全モデルに共通して言えるのはエンジンオイルはケチらず良いオイルを入れる!ということ。
間違ってもホームセンターで売ってるようなエンジンオイルなんか入れちゃダメです!
ご存じEJ20はピストンが横を向いているために冷間時の油膜切れからくるシリンダーへのカジリやエキマニがエンジンの下にレイアウトされており、更にそれがオイルパンを囲んでいるという熱には厳しい状況なので、油膜保持性能はメチャクチャ大事です。
そして冷却水にも気を使ってください。ヘタな重い社外ラジエーターを入れるくらいならGDB-F純正を。 冷却水はなるべく熱交換効率の高いタイプを入れてしっかり管理。
ちなみに技術がないお店だと冷却水交換の際にエア抜きが不十分でオーバーヒートすることもあるので要注意!!!
中古で買った車両ならまず過去のオイル・冷却水履歴の確認は必須。
そしてヘタなチューニングはダメ! ランサーの4G63のように「何をやっても強いエンジン」ではありません。
これは純正でかなり限界点に近づけてあるのと元々がピストン径から耐ノッキング性能に対してキャパが少ないことも起因しているのかなと思います。
なので、安易にキノコ型のエアクリーナーにするのも良くありません。キノコタイプでもしっかりとチリをとってくれるフィルターがいいです。そしてエンジンルームの熱気を吸わせないこと!
吸気温度が上昇すればそのぶんパワーは落ちますし、燃焼室内の温度も上がりノッキングがでる危険性も上がります。
なので、純正で少し吸排気をいじってるくらいならまずは吸気に気を使って、オイル・冷却水・消耗品に気を遣えば基本的には非常に高耐久なエンジンですよ。
でなければ初代レガシィが樹立したFIA 10万キロ世界速度記録樹立「連続19日間、447時間44分に及ぶチャレンジの平均速度は223.345km/h。2つの 世界記録と13の国際記録を更新」なんて偉業は達成できませんからね(^_-)-☆
では☆